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従って健康づくりは、明るく活力のある社会、活力のある経済を築く上で非常に重要である。 高齢になるほど医療費がかかる。
若い頃は細胞も若く、体の様々な機能も活発であまり病気にならないし、なったとしても治りが早いが、高齢になると病気になりがちだし、いったんなると治るまで時聞がかかり、費用も嵩む。 年齢階級別の一人当たり医療費(年額)をみると、図表312にあるように、一O代のころは六、七万円程度だが、六O代には四O万円前後、七O代には六O万1七O万円、八O代後半になると一OO万円近く必要になる。
一O代と八O代の後半では平均値でみても一五〜一六倍くらいの差がある。 このように、高齢化が進むほど社会の医療費負担は大きくなる。
逆に言えば、健康を増進することにより医療費をある程度節約できる。 健康に関する高齢化社会の基本的な問題は糖尿病などの生活習慣病である。
これを克服するには、具合が悪くなってから治療するというより、そうなる前に生活習慣をコントロールすることが基本となる。 つまり、食事の塩分を控えるとか、適度な運動をするとか、食べ過ぎないとか、十分な睡眠をとるとか、ストレスをためないとか、ライフスタイルの改善によって代謝、循環、免疫の機能を維持することである程度防げる問題である。
国民の健康状態が改善され、社会全体の医療費の増大が抑制されれば、本当に困っている人へ公的な医療費を集中投入することができるようになる。 そういう意味でも健康づくり支援は非常に重要である。
健康づくりのためには、食事にしても、急用にしても、リラクゼ−シヨンにしても、サプリメントにしても、スポーツにしても、それぞれコストがかかる。 コストをかけた結果、十分なベネフィットが得られるかどうかが重要である。

つまりコストに見合うベネフィットが得られるのであれば、かけたコストは一種の健康投資と考えることができる。 健康づくりが産業として成立するには、あることを一生懸命やればそれが健康づくりになるという証拠(エピデンス)が必要となる。
投資の前提はそれがリターンをもたらすということだから、健康投資が健康を増進させるという証拠がなくてはならない。 健康づくりについても全く同じで、証拠が健康産業発展の基礎、大前提であり、様々な健康づくりの効果を解明するための調査や研究、情報開示、解説が重要なポイントとなる。
その結果、二疋の証拠があり、健康投資をすると健康増進に効果があることが分かってくれば、多くの人が健康投資をするようになり、健康づくり支援産業が大いに発達し、雇用と所得が生まれて経済が活性化することが期待される。 医療は比較的限られた分野であるが、健康支援産業というのは広がりが非常に大きい。
最も基本的なのは食材である。 それからサプリメントやスポーツ、癒し、エステ、旅行などが全部健康支援産業である。
そうした活動が健康増進に役立つことが解明され、人々がそのことを理解するようになれば、健康づくりは大きな産業として発展していく可能性がある。 その結果、医療費が減っていくわけだから、二重の意味ですばらしい可能性を持っていることになる。
まず健康サービスの現状、つまり健康を支える社会基盤をみると、個人の価値観や人生観に即した多様なライフスタイル、ライフステージに応じた多様な生き方やニ−ズに、公共施設や社会保障制度などが十分に応えているとは言い難い。 人々の健康への関心は大変高く、様々な取り組みが行われているが、科学的根拠に基づく有効性の高い取り組みはあまりみられない。
今後ますます多様化していく国民の健康ニ−ズに適切に対応していくには、疾病予防と健康増進についての正しい知識の啓発・普及が必要だが、日本は欧米に比べ、特に予防の面での取り組みがかなり遅れている。 次に、わが国の医療制度と国民意識についてみると、高齢化を背景に国民医療費は一九九九年に三O兆円を超えるなど急速に増大しており、二O二五年には六五兆円に達すると見込まれている。
ところが、このように医療費が増加しているにもかかわらず、日本の全病院の国民の側では医療サービスへの意識が高まっており、医師などの専門家から情報を得て本人がサービスを選択する、「インフォームド・チヨイス」、すなわち情報を持った上での選択という視点が重要になりつつある。 社会の成熟化で健康サービスに対するニ−ズが多様化する中で、個人の特性に応じた「テーラーメイド・サービス」、個人が自由に選択できる、お仕着せでない「ロイヤル・サービス」が求められるようになってきている。

医療や健康づくりにとって重要なのは個人の健康管理である。 日本ではいままで、医療や健康管理は集団検診による早期発見、早期治療が最も重要とされてきた。
これからは個人の体質に応じた健康管理や自己責任による自己管理を前提とした疾病予防、健康増進が基本の時代になったと言える。 この背景には生活習慣病が先進諸国の大きな健康問題だということがある。
生活習慣病は基本的には自分で治す病気であり、症状がはっきりしてからでは手遅れの場合が多い。 生活習慣病を防止するには若いときからの自己管理、自己責任、健康情報の理解が大切になる。
日本の健康管理はとにかく医者に行けばいいという医療機関への依存が強く、自己責任、自己管理という意識は非常に低かった。 自己責任、自己管理で治していくという態度をしっかり持たないと、生活習慣病はなかなか克服できない面がある。
診断・治療を重視する政策が続けられてきたために、自己責任、自己管理に基づく個人の健康管理を指導する人材も日本では極めて乏しい。 日本でも遅ればせながら二OO三年五月に「健康増進法」が制定され、地域の健康増進を支援する根拠法になっている。
個人の健康づくりを促進するためには、まずω個人の健康づくり基盤を形成する必要がある。 個人の価値観や噌好、個人の置かれた環境条件は極めて多様なので、健康づくりもそれら個人の条件に合わせた取り組みが求められる。

保健、医療、福祉の制度は縦割りであり、その聞の連携が不十分である。 日本では個人が自分に合った、満足のいく健康サービスを受けることは必ずしも簡単ではない。
一方、情報技術の発達で個人の条件に合わせたサービスを提供することは技術的には可能になっている。 国民の健康へのニ−ズが多様化する中で、人々が自分に合った健康サービスを主体的に選択し、効果的に活用するためには、保健、医療、福祉の総合化に加えて、スポーツ、ピュ−テイケア、生涯学習など幅広い健康サービス産業が連携した新しい健康づくりプラットフォームを地域で構築することが有用である。
療重視から健康増進・疾病予防重視へと質的転換が求められる中で、産・官・学の連携により健康診断デ−タやストレスなど健康状態と健康寿命の関係、スポーツや健康増進プログラムなどが健康づくりや介護予防に及ぼす影響などを科学的に解明する必要がある。 それをEBHと言、つが、そういう科学的な解明をもとにして根拠に基づく健康増進の確立が可能になるわけである。
その際、近代西洋医学と、相補(コンプリメンタリ−)とか代替(オルターナテイプ)医療では根拠の検証方法が異なることに留意し、それぞれに適した研究の方法が必要である。

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